ホーム > 社会貢献活動 > ハンセン病制圧事業への協力について > 平成28年8月1日~6日 ボートレースチャリティ基金海外支援視察を実施(フィリピン・クリオン島)
社会貢献活動
ハンセン病制圧事業への協力について
平成28年8月1日~6日 ボートレースチャリティ基金海外支援視察を実施(フィリピン・クリオン島)
 平成28年8月1日から6日、ボートレースチャリティ基金委員会の委員長である上瀧会長は、(公財)日本財団・前田晃常務理事、(公財)笹川記念保健協力財団・喜多悦子理事長、(株)日本レジャーチャンネル・前岡良徹代表取締役社長をはじめ関係スタッフたちとともに、フィリピンのクリオン島をはじめ、ブスアンガ島、ガロック島において「ボートレースチャリティ基金海外支援視察」を訪れました。
【視察の経緯】
 平成25年11月8日、フィリピンを襲った超大型台風「ヨランダ」により、犠牲者は6000人を超えるなど、フィリピン全域にわたって甚大な被害をもたらしました。
 これを受け、ボートレースチャリティ基金委員会は、世界最大のハンセン病隔離施設・クリオン療養所のあったクリオン島においても、島民の3/4が被災し、同島が所在する北パワラン地区も予想以上に被害が大きかったことから、緊急支援を実施するとともに、同地区は、数多くの小さな島によって成り立っていますが、緊急時に患者を安全かつ迅速に搬送する手段がないため、救急船の支援することとなり、今回の視察が決定しました。
【台風被害支援学校視察】
 1日午前、成田空港を発ちフィリピン・マニラに到着。翌日午前中にマニラを発ち、ブスアンガ、コロンを経て、施設修復を支援した学校のあるカニマンゴ島・ガロック島を訪問しました。
 それぞれの島に到着後、子供から大人まで多くの島民が出席して行われた歓迎式典において、手作りのアクセサリーやお礼状をいただき、歌や踊りで訪問を歓迎していただきました。その後、上瀧会長をはじめ、前田常務理事、喜多理事長、前岡社長より励ましの言葉を贈り復興に尽力した島民に対し敬意を表しました。
 式典終了後には、施設の修復を支援した学校を視察し、そこでも多くの生徒たちに温かく迎えられ、日本から持参した記念品を手渡すと、非常に喜んでいる様子でした。
 台風の被害を受け2年が経過し、まだ心の傷は癒えていないものの、家屋の修繕や施設修復・水道施設等の補修は着実に進んでおり、多くの方の支援により島民は日常の生活を取り戻せています。
【救急船の進水式】
 クリオン島が所在する北パラワン地区において、クリオン療養所ならびに国立総合病院は、25万5000人を管轄する中核病院として、多くの地域住民の健康を支えており、重要な役割を担っています。しかし、数多くの小さな島によって成り立つ同地区においては、緊急時に患者を安全かつ迅速に搬送する手段がなく、今後の度重なる自然災害や緊急医療対策に備え、同地区の人々の医療アクセス確保から、ボートレースチャリティ基金より1艘約1150万円の造船費用が掛かる救急船の支援をすることとなり、平成26年12月に造船が開始され、この度完成を迎えました。
 8月3日、救急船の「進水式典」が、クリオン・コロン・ブスアンガ市長ならびに代表、ハンセン病回復者、総合病院、地域住民など多くの方が出席し行われ、進水式典では、住民・関係者の代表より感謝の言葉が伝えられ、上瀧会長からの挨拶の後、調印が行われ正式にクリオン療養所ならびに国立総合病院に救急船が委譲されました。
 式典終了後、地域住民の健康と救急船の安全が祈念され、救急船が無事に海へと進水すると大きな歓声がり上がりました。荒れた海の中でも揺れは少なく快調な走りをすることができる救急船は、多くの地域住民の健康が支えられていくこととなり、今後のメンテナンス・維持費用は、活用予定の4島からの資金補助により賄われます。
【クリオンミュージアム視察・ソーシャルギャラリー開設式】
 8月3日、笹川記念保健協力財団が支援し、ハンセン病患者療養所開所100周年の2006年に開設された「クリオンミュージアム」を視察しました。
同島は、1906年にハンセン病患者の隔離と療養を目的として、クリオン療養所の開設以降、毎年多くの患者が収容され世界最大級の隔離施設となり、ハンセン病隔離政策のモデルとして世界各地に多大な影響を与えました。
 同施設は、これまでハンセン病やそこに住む人々の歴史を保存する活動がほとんどされていなかったために、同財団が建物整備、資料・写真、医療機器や展示室の充実等に協力し、また、同島を実際に訪れることができない人たちも、実際にハンセン病の歴史に触れることが出来るようクリオン市のウェブサイト開設にも携わりました。
 翌日4日、同施設2階において、「ソーシャルギャラリー開設式」が行われました。
これは、ハンセン病の資料や写真を長期間良い状態で保存できるようにデジタル化が進められ、実際にハンセン病回復患者や関係者のインタビューをパソコンで視聴することができ、これまでの歴史を語り継ぎ、保存・風化させないために開設を支援しました。
 かつて「生ける死者の島」と呼ばれていたクリオン島は、1992年に保健省直轄のハンセン病療養所から一地方自治体として新たな一歩を踏み出し、隔離と苦難を乗り越え、新たな歴史を作り出しています。
【日本ボートレーサー奨学生との面談】
 8月4日、日本ボートレーサー奨学生と面談が行われました。
 ハンセン病は世界中どこでも無料で治療が受けられ、1年以内に治る病気となっています。しかし、現在においてもハンセン病にかかった子供やその親を持つ子供の多くは、偏見や差別のために学校を中退、追い出されたりと様々な理由から教育を受ける機会に恵まれていないため、ボートレーサー一人ひとりの寄付金が「日本ボートレーサー奨学金」として、教育支援に役立てられています。
 面談の中で、奨学生より、「ボートレーサーの皆様の支援により、私たちは学校に通うこととの喜びを感じ、勉強することが出来ることに大変有難く思っております。このご恩を決して忘れることのないよう、これからも頑張っていきます」と感謝の気持ちが伝えられ、上瀧会長からは、「我々の支援が皆さんの助けになっているようで非常に嬉しく思っております。これまで学んだことを、家族のため、そして島の皆さんのために役立ててください」と激励の言葉を贈りました。
 日本ボートレーサー奨学金は、2003年から現在までで、フィリピやンインド、中国、ミャンマー、ネパール、インドネシア、ベトナムの7カ国で、延べ約5400名の子供たちが学校に通うことができ、各国の親や子供たちから感謝の気持ちが伝えられている。

 奨学生との面談が終了し、全行程を無事に終え、今回の海外支援視察は終了しました。