令和7年1月16日から17日にかけ、公益社団法人日本モーターボート選手会の所有する訓練施設兼地域住民の交流の場である「勤労青少年水上スポーツセンター」において、P.UNITED(パラスポーツ9競技団体による協同プロジェクト)との合同イベントである「Athlete CAMP 2025」が実施されました。
日本モーターボート選手会は平成29年よりパラスポーツ団体への支援を開始し、令和5年8月にP.UNITEDとのパートナーシップを締結。当イベントは、合同研修の実施や情報交換によるアスリート強化と、地域住民に対するボートレースならびにパラスポーツの普及が目的です。昨年に引き続き2回目の開催となった今回は、選手会常務理事である小畑実成選手など、ボートレーサー11名と、日本代表の高木裕太選手(パラカヌー)や稲葉将選手(パラ馬術)を含む9競技12名のパラアスリートが参加しました。
初日は地元の小学生約70名を招待し、まずは歓迎の意味を込めてボートレーサーがウェルカムレースを実施。初めてボートレースを見るという児童も多くおり、間近で感じるエンジン音やスピードを前に、終始大きな歓声が上がっていました。また、ゴール後にボートレーサーが舟の上から手を振ると、みんな笑顔で大きく振り返していました。
その後は班に分かれて、パラスポーツ・ボートレース体験会が行われました。パラスポーツ体験会では、パラアスリートと一緒にフェンシング、射撃、卓球を、ボートレース体験会では、展示ボートへの乗艇やプロペラ叩きを現役ボートレーサーと一緒に体験しました。車いすに乗ってスポーツを行ったり、実際にボートに乗ったり、ほとんどの児童が初めてながらも果敢にチャレンジをし、中には「才能がある」と褒められる児童もいました。また、ボートレーサーも児童の班に混じってパラスポーツ体験会に参加し、様々な体験。児童を前にパラアスリートと実際に対決する様子も見られ、どの種目も大きく盛り上がっており、児童にとってもボートレーサーにとっても学びのある体験となりました。
その後、外部講師を招いて「思考のクセを解きほぐす」というテーマで研修会が行われました。ボートレーサー・パラアスリートに共通するメンタルや思考法に関する研修であり、選手からは「今後、実際に活用していきたい」という声が聞かれました。
2日目はパラアスリートにボートレースをよく知ってもらうため、ボートレーサーからボートの乗り方やモーター・ボート・プロペラの解説などが聞ける、ボートレース体験会が行われました。ボート・プロペラの解説では、佐藤大介選手を含む4人が、ボート・エンジン・プロペラを実際に見せながら解説をしました。この場ではパラアスリートから多くの質問が飛び交い、ボートの乗り方やレースへの心構えなど、様々な会話が生まれていました。
また、水面で行われたボートレース体験会では、普段のレース時では転覆したボートレーサーを引き揚げるために使用するレスキュー艇にパラアスリートが乗り、今回は特別にターンマーク付近で3艇によるボートレースを見学。パラアスリートからは「映像とは違う迫力がある」、「スピード感を間近で感じられて楽しい」といった声が上がりました。
また、前列にパラアスリートが座り、後列でボートレーサーが操縦するペアボート乗艇も実施。ボートレーサーの視界や風を実際に感じられ、パラアスリートには「普段の生活では感じられることのできない速さを体験出来て楽しかった」と、貴重な体験に楽しんでいる様子でした。参加したパラアスリートの中には足の不自由な方もいましたが、ボートレーサーは協力し合いながら慎重にパラアスリートを支えて移動の補助を行い、ボートに乗せていました。
全てのカリキュラムの終了後、選手会小畑常務理事による挨拶があり、本イベントは無事閉会となりました。
イベント終了後、参加したボートレーサーからは「2日間を通してパラアスリートやスタッフなど色々な方と話す機会があり、得るものが非常に多かった。来年もぜひ参加したい」、「毎日厳しい環境の中でボートレースに向き合い、楽しさも忘れかけていた中でパラアスリートの方々から“ペアボートが楽しかった” “ボートレーサーはすごい”と声をかけられ、ボートレースの魅力や、自分がプロのボートレーサーであることを再認識した。」と、イベントの成果を感じるコメントがありました。
パラアスリートからは「ボートレーサーの素顔や、競技に対する思いを聞けてよかった。他のパラアスリートの方々と横のつながりを築く良い機会となった。」、「公営競技であるボートレースの選手は制約も多く、成績を残し続けなければならない厳しさがあると聞き、驚いた」といった感想が聞かれました。